Q 自己紹介をお願いします。
A 澁谷岳志です。タケシと読まれることが多いですがタカシです。 ここではシーレくんと呼ばれています。興味がエゴン・ シーレに似ているそうです。 よく行く酒場では魔法使いたかしくんと呼ばれています。 格好が魔法使いに似ているそうです。 初対面の人には女だと思われますが男です。 女に似ているそうです。
1988年福島県生まれ、 大学では理学部で地質学を専攻していました。 サークルの映画研究会で作品を作ったり、 大学と並行して近くの美大予備校に通いデッサンしたりしながら、 芸大へすすむことを決めました。
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Q 作品を作ったきっかけは?
A 人は自分の身体を、一度に全部みることはできません。 みることが可能なのは、常に身体の断片です。 その断片を統一しているのは、人のもつイメージの力の産物で、 そういったイメージの中に自分の統一された身体像が存在します。 これがアニメーションの原理である間欠運動と似ている気がしたの で、 アニメーションで身体を描いてみたいというのがひとつありました 。
それと3.11以降、 自分のこれまで立っていた基盤がいよいよ信じられなくなりました 。地元福島の爆発は、人間が都合のいい偽りの自己の意識のもと、 科学で自然や人をコントロールできるという過信が根底にある気が して、それがいつからはじまったのかと言うと日本では明治以降、 文明開化で西洋のものを輸入し、 よく考えられずに日本をその形に無理矢理当てはめていった時です 。その名残や限界、不当や理不尽をいたるところに感じ、 じゃあどうするのかということを考え、 自分と世界との距離感を探っていたのがきっかけです。
Q 手法と作品の制作プロセスは?
A ドローイングで描いた動きにあわせて、
Q 作品の見所について教えてください。
A 主観と客観が入り乱れる表現、不安定に揺れ動く身体の動き、 キャラクターと背景との距離感など、だと思います。決して成功はしていないですが、 自分なりに挑戦をしたところなので。
Q 制作で苦労した点は?
A 自分がこれまでやってきた事の正当性が疑しかったので、 その多くを禁止して挑みました。その結果、12フレームで描く、 アナログで描く、リピートしない、モンタージュしない、 セリフを使わない、止まっている画がない、 描けるとわかってる絵は描かない、など、 厳しいものになりました。
また、いろいろなプライベート上の問題が気になり、 制作に集中しきれなかったという、 そもそも制作以前のレベルで悩んでしまいました。失格だと思います。迷いのあるものばかりが残ってしまって、 うまくいったとは言えません。いろんな方にご迷惑をおかけしてしまいましたが、 それでも自分の通った道を一つの形として残せたのは、 よかったです。
Q 影響を受けた作品は何ですか?
A 今回のテーマにそって言えば、身体のこと、 世界との距離ということに関して、 ヨウジヤマモトのつくる服には触発されています。自我というテーマを考えるにあっては、 あだ名にもなっているエゴン・シーレの絵や、 主語が存在しないと言う三上章さんの日本語文法論、 構造主義以降の現代思想や精神分析の著作の多くなどから、 疑問に思うことも含めてですが、影響を受けていると思います。音に関しては、 今回は後期ロマン派のアルカンやショパンからの影響があります 。
Q あなたにとってアニメーションとは?
A 昔は、自分が居直るための都合のいい言い訳でした。今は、 つながりやうまくいかないことのおかげで自分が成長していけるも のだと思います。
自分も世界も日々揺れ動きながら、 そんなつかみどころのないそのときの自分が一つの等身大の形とし て残ることは、不器用なぼくにとってはありがたいです。芸術全般に言えることとは思いますが、個人的な問題のみならず、 社会なり人なりも、 それによって何かいい方向へ向かうだけの力なり可能性のあるもの だと思います。
Q あなたの今後の”Sail”について教えて下さい。
A 泳ぎは得意ではないですし、山育ちの人間なので、海は怖いです。 その辺で座礁して溺れ死んでいるかもしれません。それでも、知りたい好奇心や、それによって成長できた経験、 発見したことなど、その恩恵も随分受けていますし、 その魅力を知ってしまったので、 どういったものにせよ作品は作り続けます。
研究や批評、作品制作やその発表などで得たこと発見したことを、 何らかの形で伝えていければと思っています。最終的には山で岩魚釣って山菜採って暮らしたいです。
澁谷岳志さんの作品「自我像」はプログラム「一年次作品2013」にて上映いたします。プログラム「一年次作品2013」は、3/8から三日間、横浜の馬車道校舎で上映となっています。
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